柿の専門

第三話「郷愁の柿⑱」誕生!

商品紹介

 昔から種の多いつるし柿の種を丁寧にひとつずつ取る「種なし柿」という業務用の商品がありました。この「種なし柿」は種を取って空洞になった部分に詰め物をして使われます。

「種なし柿」に餡を詰めて新しいお菓子が作れないだろうかと考えた社長。新しい商品を開発しようといろいろと試してみます。ゆず、チョコレート、バター…。いろいろと作ってみましたが、どれもしっくりきません。その中で一番しっくりきたのが栗餡でした。
それでも普通の栗餡では甘すぎます。さらに試行錯誤を繰り返す中で思い出したのは「おばあちゃんの味」でした。
昔、社長のおばあちゃんが作ってくれたという渋皮付きの栗きんとん。「飛び切りおいしいわけではないけど、懐かしくて忘れられない」思い出の味。
「渋を消すのではなく、活かせばいいのでは」
そう思い付いた社長は渋皮付きの栗で餡を作り種を取ったつるし柿に詰めました。
すると、法連坊柿の独特の風味と渋さに渋皮のかすかな渋さが組み合わさって何ともいえない懐かしい味がします。
「これやな」。
やっと法連坊柿を使った商品が完成しました。

あとは商品名をどうするかです。社長は一緒に商品開発を担当していた社員に商品名を考えるよう依頼しました。すると「これしかない」と提案してきたのが「郷愁の柿」という名前でした。

こうしてやっと完成した「郷愁の柿」。
法連坊柿のつるし柿で新しい商品が作れないかと考え始めて3年が経っていました。
それでも、「郷愁の柿」がすぐに飛ぶように売れたわけではありませんでした。

次回は、第四話 勇気をくれたお客様の声

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