柿の専門

郷愁の柿⑱ 第五話 世界に通用する?

商品紹介

 口コミで売れ始めた「郷愁の柿」。お客様からの口コミは「柿の専門の最強の営業」になってくれました。

そんな中、2013年秋だったと記憶しています。観光庁が全国各地の地域の特性を活かしたお土産を集めたコンテストを開催するので「郷愁の柿」を奈良県代表のお土産として出品してみてはどうかという話が持ち上がりました。

日本全国から素晴らしい商品が集まるはずですし、コンテストの審査員も全国展開している百貨店のバイヤーや社長、有名な雑誌の編集長といったそうそうたる面々です。一次審査と最終選考があり、一次審査を通過した商品が最終選考に進めるとのことでした。

「せっかくいただいたお話だし、出すことに意義がある」
そんな気持ちで「郷愁の柿」を出品しました。
出品したことも忘れかけていた頃、一次審査通過の知らせが舞い込んできたのです。

全国から集まった747品のうち最終選考に残ったのは115品。
その115品を10人の審査員に試食してもらい、10人が1品ずつ選んだ10品が「世界に通用する究極のお土産」として認められます。

「大変なことになった!」と社内は大騒ぎに。
最終選考の会場は東京の明治記念館。しかも、年末のお歳暮シーズンに向けて一番忙しい11月の開催です。社員を東京に派遣するにしても1人が限界でした。
「誰が東京の会場に行く?」
「郷愁の柿」に関わった社員全員で「全力で譲り合った」結果、当時、専務で「郷愁の柿」開発の最高責任者だった現社長が東京に行くことになりました。

きらびやかな会場に華やかな各社のブース。素晴らしいプレゼン。
「場違いな所に来てしまった…」社長はそう思ったそうです。

でも、せっかくここまで来たのです。
社員たちの励ましも受けて気持ちを奮い立たせた社長。
「審査員の1人でもいい。『郷愁の柿』の物語と想いを伝えよう」と決心します。

必死の思いで審査員10人中5人に食べてもらい、そのうち2人に想いを伝えることができました。
「普通なら会えるはずもない人たちに食べてもらうことができたし、想いを伝えることもできた。十二分だ」。
清々しい気持ちで結果発表を聞きながら後片付けをしていた社長。すると「郷愁の柿」とアナウンスが。

「郷愁の柿」が「世界に通用する究極のお土産」に選ばれたのです。

頭は真っ白の状態だったという社長。途中まで片付けていた「郷愁の柿」を再び取り出し、なんとか取材に応じて奈良で待っている家族と社員にも受賞報告の電話を入れたそうです。

「渋すぎる」といわれて残すのは難しいのではと思われていた法連坊柿。
売れる見込みがなくて最初は受注生産でスタートした「郷愁の柿」。社長にとっては十年以上かけて育ててきた第一号の商品でした。そのため喜びもひとしおだったそうです。

次回予告 第六話 夢を叶えてくれた「郷愁の柿」

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